√番外編作品集

「慣れてくればいい愛称だってば、ほりぐっち。私お気に入りなんだけどなぁ」

「飯島はなんて呼ばれてるの?」

「私は名前が多いよ。飯島とか呼ぶのはクラスの男子とか先生くらいじゃないかな。ほら、河田君とかは敦ちゃんとか呼ぶけど」

「敦ちゃん」

試しに呼んでみると、敦子は苦いものを口に含んだような顔をしてみせる。

「いや、でもなんか、ほりぐっちに呼ばれるとすっごい子供になった気分。ほりぐっちパパオーラありすぎ」

「それ密かに傷つくぞ。1つ上なだけだろ」

「あはは、敦子でいいよー敦子で」

「んむ──まぁ、気が向いたら」

「じゃあ、私も気が向いたら"ほりぐっち"って呼び方変えるね」

部活のメンバーに呼ばれ、敦子は立ち上がる。

構内地図を渡して、あとで潤に案内してもらって下さいと笑顔を投げた。

「とっつあん! 今日は楽しんでください!」

「了解、フジコー」

棒読みの俊彦に、敦子は吹き出しながらも、笑顔を投げて去っていった。

今日は1日、他校の文化祭を精一杯楽しもう。

そう決めて歩き出した。