こうして、俺のバレンタインは過ぎていく。 平野さんが診察に来てくれないことが気になって仕方ない。 冗談だと思ったのか? 俺、本気で平野さんからのチョコが欲しいんだよ。 診療時間が終わった。 俺はあきらめるべきなのか。 このドキドキする胸の高鳴りを気付かぬフリして、生きていくべき? 今日、来なかった。 平野さんは俺に会いに来なかった。 それが答え? 俺に気持ちが向いていると思っていたのは、俺の自意識過剰だったのだろうか。 いや、そんなはずはない。 俺はそんなことを考えながら、外へ出た。