寄り添った体。

安心する温もり。



俺は平野さんの手をそっと握った。


そして、俺のコートのポケットに……


入れた。



ずっと離れるな。

俺のポケットにずっと手を入れていて。




ポケットの中で触れる平野さんの手が……


香織の手が、愛しいよ。


香織……


心の中でそう呼んでみて、心が震えるような気持ちになった。





お別れの時が近付いている。


俺はゆっくりと歩く。


平野さんの横顔を見つめ、俺は気持ちを引き締めた。




俺がこれからすべきこと。



この人を守る為、

この人と生きていく為……



乗り越えるべき壁がある。