自分を止めようとしたが、口からは本音が漏れていた。



「絶対に無理しちゃだめです!私がいつでもこうして撫でますからね」




さっきまで怒った顔をしていたのに、今は少し照れた顔をした。


その表情もまた俺の心を捕らえて離さない。



何なんだ、この女性。


どこがそんなにも俺の心をくすぐるんだろう。



わからない。



綺麗なだけならこんな気持ちにならない。





「夜中や、休日に何かあればここへ電話ください。他にも何か心配事があったら、いつでもいいので…明日も迎えが必要ならご連絡ください」




これはいつものこと。



平野さんに特別な感情を抱いているから、教えたわけじゃない。



でも


でも……




かけてきて欲しいって本気で思ってしまう。



用がなくてもいいから、俺に電話してって言いたいよ。




俺がいつでも撫でるからって。