結婚を前提とした付き合いだと最初から思っていた。 だから、どこか冷めた自分の気持ちもそのせいだと思っていた。 結婚と恋愛は別だとずっと思ってきた私にとって、仁との付き合いは完璧に結婚を前提としたものだった。 お互いに束縛もせず、理解あるようにも見えるがどこかで冷めているふたり。 仁にとっても、私は結婚するのにはふさわしい女だったのだろう。 燃えるような恋愛とはほど遠い。 穏やかで、老夫婦のような居心地の良さ。 嫉妬をしない仁に物足りなさを感じるどころか、それをラクだと思い始めていた。