「んげっ。あの仁様がぁ~?」 教室中に奈都の声が響く。 あたしは素早く奈都の口を手で塞いだ。 「ちょっと。大声出すときは場を弁えてからにして!!」 奈都の耳元であえて低い声で呟いた。 奈都はやっと周りの状況を把握したのかあたしに手で“ごめん”のポーズをした。 そんなあたし達を見るクラスのみんなの視線がすごく痛かった。 女子の会話の間からは“仁様”って言葉が何度も連呼されている。 あたしはこの場に居たたまれなくなって奈都の口を抑えたまま奈都を連れて屋上に行った。