純ちゃんは隣のクラスに彼がいて、美穂ともう一人の子は憧れの先輩に渡すつもりだという。



すごいな、みんな。


私は、勇気がなくて一回も渡したことないよ。


お父さんや、おじいちゃんくらい。




「希は、誰かに渡すの?」


「い、いないもん。渡す人なんて。」



一瞬、ある人の顔が浮かんできて。


思わず目をつぶって顔を振る。




「まあ、とにかく。美味しい手作りチョコ、希に教えてもらおうよ。来週の日曜日、希ん家に行ってもいい?」



美穂の一言から話が盛り上がり、結局みんなで作ることになった。





そして日曜日。


みんなで材料を持ち寄り、本とにらめっこ。


悪戦苦闘しながら、どうにか完成した。



試食してくれたお母さんも、美味しいと言ってくれてホッとする。



みんなが好きな人に渡すチョコだもん。まずかったら困る。