モザイクの世界

真認識法が世界中で施行されるようになって暫くたつ。


母胎にいる時に遺伝子の操作で、すでにもう視力は"ぼやける"ようになっている。

次の世代は、当然"モザイク"目で生まれてくる。


遺伝子なので、目の売買で見えるようになるわけではない。


この法律ができてから、世界では皮膚の色や民族闘争、いわゆる無駄な争いの多くが消えた。


今・・・本当の世界をみたいと言う人はいない。

依然の大規模で悲惨な結末を生んだ"世界的戦争"を教えられているからだ。

昔は外見も、貴重な人を選ぶ基準だったらしい。

僕らの世代には信じられないことだった。


世界中は、愛であふれ平和な毎日を送っていた。


だが、新たに視力を取り戻す運動が起こり、とうとう技術が動物実験で成功した。


そして今、"視界を取り戻した僕ら"が信じれるものは何もなかった。


多くの者と同様、僕は死を選ぶ。

今寂れた汚い世界のビルの上。


戦争の後遺症なのか無惨な顔を触ってみる。


ボコボコしていて膿が飛び出てヌルヌルする。

僕だけじゃない、皆世界中の人が同じ顔だった。

こんな世界は嘘だ、もう一度視力を取り戻すんだ。

僕はビルから飛び降りた。