朝から二人の姿など、見たくない。
でも目を離すことの出来ない俺がいた。
その光景を見た途端、俺の心は締め付けられるくらい、ぎゅっと痛くなる。

息すら出来なくなって…俺は耐えるように手すりを握りしめた。

二人は仲良く笑い合いながら校舎の中へと入っていく。


ヒカルは気付いてないだろ?
俺が遠くから見ていることに。

ヒカルは気付いてないだろ?
また俺の傷が増えたことに。


立っていることすら不可能になった俺は、その場に座り込んだ。


『…はぁ…なんで…』


目を閉じ自分を落ち着かせる。
でも…苦しさはなかなか収まってくれないようだ。


時間が経つにつれ、だいぶ落ち着きを取り戻すことが出来た。
それと同時にあることを思い出す。


『さくら…』


そう、それはさくらだ。昨日あれからどうなったのか心配でたまらなかったのだ。

学校へ来ているだろうか?

俺は一目散に教室に向かう。