『光輝さんによろしく言っといてな?俺、もう行かなきゃ教頭に怒られるから行くな。入学式サボるんじゃねーぞ!』
先生は慌てて教室から出ていく。
途中、女生徒に話しかけられていたが、『ごめんな』と言って先を急いで行った。
先生は確かにかっこいい。
人気が高いのではないだろうか。
だけど見てしまったんだ。
先生の薬指にキラキラと光る指輪を。
きっと結婚しているのだろう。
『面白い先生…』
ボソッと小さく言って微笑む。
待たせていたヒカルを探し、教室をぐるりと見渡すと、俺は有り得ない光景を見た…
その光景とは、教室の入り口で仲良く話しているヒカルと美加の姿。
その光景を見てしまった俺は息が出来なくなり、立っていることすら出来なかった。
すごい衝撃。
急に込み上げる悲しさ。
なんで─…?
立つことに苦痛に思った俺だが、ここで座ってしまったら…負けた気分になりそうで…
俺は足に力を入れた。


