彼女が教室から去ってから、時計の針は何周しただろうか?

先生が今から行われる入学式について話している。
だけど俺はそんな話を筒抜けで…
どうでもいい…
隣には彼女の姿はない。

『もうそろそろだな。じゃあ体育館に行きな!』

先生が腕時計を見て時間を確認する。
とうとう彼女は現れないまま入学式が始まろうとしていた。


『坂井…雅だよな?』

するといきなり先生が俺の目の前まで歩いてきた。
俺は『へ?』と言って首を縦に振る。
先生は笑って『やっぱりな』と呟いた。


やっぱり?
俺のこと知ってるのか?

『…なんで?』


不信に思い、頭の上に?マークを浮かべなから質問をした。
先生は天井を見上げ、なにかを思い出しているようだ。


『光輝さんの息子だろ?俺のこと知らないか?小さい頃会ったことあるんだけどな。ほら、俺、遥斗の友達の響!』


先生とは思えない口調で説明していく先生。
俺は先生の顔をじっと見つめて思い出していく。