受話器から微かに聞こえてくる婆ちゃんの声。
俺は立つことさえ出来なくなり、その場にしゃがみ込んだ。

そんな俺を不思議に思う家族たち。
母さんがガスを切り、俺へと近寄ってくる。


『雅どうしたの?電話、誰?』


フローリングの床にポタポタと水滴を落としていく。


爺ちゃん…爺ちゃん…。爺ちゃんの笑顔が浮かぶ。

どうして…。


母さんは涙を流す俺の頭に触れて、落ちていた受話器を拾い、受話器に言葉を投げる。


『はい?あ、お母さん。どうしたの?』



信じられるかよ…。
爺ちゃんはまだ生きているはずだ。

まだ…どこかで…。


『え…?!』


リビングに広がる母さんの声。
父さんはテレビの電源を切り、部屋を静かにさせる。


次第に広がる俺の泣き声。


そして母さんも言葉を失った。