あの場所で見た星は、
ここからでも見えて輝いている。
その星を見て微笑み、家の中に入って行った。


『ただいまー』


『雅じゃん。爺ちゃんとこ行ってきた?』


玄関にはリビングに向かおうとしていた美月がいた。
俺は靴を脱ぐ。


『行ってきたよ!元気そうだった。今度美月も行こうな!』


こう言って美月の肩を叩き、リビングに入る。
リビングには父さんがいて、サッカーの試合を観戦していた。
リビングに広がるいい匂い。
背中を向ける母さんの隣に行き、今日の夕飯を見る。
今日はクリームコロッケだ。俺の大好物。

俺は喉を潤すため、冷蔵庫から炭酸飲料水を取り出し、グラスに注ぐ。
炭酸飲料水の泡が素直にグラスに付着をする。
これを見て、俺もこんなふうに素直になりたいものだ、と思った。

ふと横を見ると、美月が父さんと一緒にサッカーを観始めた。
俺もサッカーを観ようとしたとき、リビングに電話の音が鳴り出す。


『母さん、電話!』


『雅、出て!』


しょうがないな…と思い、俺は受話器を取る。


『はい、坂井です』




誰か、嘘だと言ってください─…。



『……え…?』




誰か、夢だと言ってください─…。



握っていた受話器が、
静かに下へと落ちていった…。