うまく出来ないのだ。
だからいつも聞かれては頷いてばかり。
いい加減言いたいのだが、口が開かない。
『ご…ごめんね?
まだ緊張して言えないみたい…』
『大丈夫!美羽は俺のこと好きだって信じてるから!』
ありがとう、陸。
あたし素直じゃないから、最後の最後まで、《好き》って言えなかったんだ…
たった一言なのに…
勇気が出なくて…
あたしは本当に馬鹿だ。
失ってから気付くなんて…
もっと、もっと─…
愛情表現をしておけば良かった…
そしたら陸は安心して、星になれたかな─…?
…そして時は過ぎ、今日はあたしの誕生日だ。
朝、起きると心を踊らせるあたしがいた。
夕方の5時、公園で陸と待ち合わせなのだ。
陸は部活で夕方まで練習らしい。
そして何より、今日は快晴ということ。
天気予報では梅雨入りと発表されたが、それと裏腹な空だった。


