陸とのベランダの距離は1メートルくらいだ。
顔を近付ければ、キスが出来る距離。
あたしはベランダに足を掛けて、顔を近付ける。
緊張で、心臓が壊れてしまったかのように爆音で鳴り響く。
誰かに見られているようで…。
その緊張も混ざっているのかもしれない。
でもあたしも陸とキスがしたかった─…。
徐々に近付いていく二人の距離。
次第に吐息が唇にかかる。
そして…二人の唇はゆっくりと重なった。
禁断の恋みたいで余計に燃え上がる。
離れていく互いの唇。
あたしは顎を引いて、陸を見つめた。
『本当はさ、抱きしめてキスしたいんだけど…これが邪魔だよな』
陸はこう言ってベランダを指差す。
『あたしは十分だよ?』
十分すぎるよ…
だってキスをするだけで愛しさは増えて、また愛が芽生えるでしょ?
あたしの愛は今も育っているよ…


