前と変わらない日常が春の季節と共にスタートをする。
今年は受験という大きな壁が待っている。
最近、陸と受験の話をするようになった。
陸は《桜台高校》を狙っているらしい。
確かにこの高校は通いやすいし、レベルも悪くない。

あたしは陸と高校が通いたかったから、桜台高校を目指すことにした。

単純な理由。
笑ってもいいよ?


あたしは真剣だから。


いつもと変わらない毎日だと思ったのに、辺りは受験一色に染まっていく。

そんな中、あたしは夜の9時になるとここに来ている。



『もうすぐ美羽の誕生日じゃん!何が欲しい?』


そう、今は5月の下旬。あたしの誕生日は6月1日。
あと少しなのだ。
陸が祝ってくれるらしい。
それだけで十分なのに、陸はプレゼントをくれるという。


『特にないよ?陸がいてくれれば…』



プレゼントなんかいらないよ。
隣に笑顔のあなたがいてくれればそれだけで…。


あたしの誕生日は、
違う意味で─…

一生忘れられない、
誕生日になったんだ…