ポカポカの陽気に包まれて、あたしは着慣れた制服に身を包む。
この制服を着るのは今年で最後だ。
悲しいけれど、嬉しい気持ちもある。
だって、未来には陸がいるから─…。
家を飛び出すと、玄関には春の姿があった。
そして、愛しい恋人の陸の姿も…
『おはよ!!』
『おはよ!美羽!』
『おはよ、美羽』
眩しいくらい輝く太陽。新しい芽を出した草花。大切な親友。
大好きな恋人。
なにもかもが完璧だ。
あたしは冬の頃と変わらず、今日も幸せの絶頂にいる。
『美羽、春ちゃん、陸くん!記念に写真撮ってあげる!』
すると玄関から、デジカメを持った母親が笑顔で駆け寄ってくる。
そしてあたしたちにカメラを向けた。
両隣には春と陸。
あたしは最高の笑顔でカメラを見るの…
『はい!チーズ!』
フラッシュの光で包まれたあたしたちの姿は、カメラの中に収まった。
…これが、陸との最後の写真だった─…


