楽しくなくたって、
つまらなくたって、
自分が『楽しい』と思わない限り世界は変わらないよ。


こう小さい頃、爺ちゃんに教わった。
だから俺はつまらなくたって、楽しくなくたって、自分が楽しくしようと心がけている。


キミは何を抱えているの─…?


さすがにこれは聞けなかった。
厚かましいというか、図々しいというか。
こんな事を聞いて、万が一教えてくれたとしても、俺はきっとなにも出来ないだろうから。


『そっか…』


俺は視線を足元に落として、苦笑いをした。
キミの影が長くのびて、俺の視界に入る。

影でさえ綺麗なキミ。
きっと真正面からみても綺麗なのだろう、と頭の中で想像していたら、彼女の影が俺に近づいてくるのが分かった。


とっさに顔を上げる俺。目の前にはキミの姿があった。


『あ…』


つい言葉が漏れてしまう。
なぜなら、俺の目の前にいたキミが想像していたより、とても綺麗だったから…