どうしてそんなこと言うの?
あたしはこの名前を気に入っているのに…


なにも言えない自分が余計虚しくて…
あたしはスカートをぎゅっと握った。



『お前うるさい!別に変じゃねぇし!』


するとどこからか声が聞こえてきた。
それは教室の後ろの方から。
涙でたまった瞳でゆっくりと顔を上げると、そこには一人の子が立っていた。


少し茶色いショートカットに、切れ長の綺麗な瞳…小麦色の肌。


すごく男の子っぽくて、名前の札を見たとき、あたしは驚く。

この幼稚園は男の子と女の子でネームプレートの色が違う。
男の子は青色。
女の子はピンク色なのだ。

一見男の子だと間違いそうな子は、女の子だと知り驚いてしまう。


『またお前かよ。いちいち春はうるさいんだ!』

坊主の男の子が春という子に舌を出す。


『うるさくしてるのはお前だろ?』




これが春との出逢いだった…