ねぇ、陸?
あたしたちの出逢いは、運命だったのかな…?
それとも偶然?
あなたはどっちだと思う?


あなたが居なくなった今でも、このベランダからあなたを見上げるの。

夜空を─…
鮮やかに光る星を─…



あたしと陸が出逢ったときはお互いまだ幼くて、当たり前だけど、まだ『恋』という字なんか知らなくて。


これが恋って知るのは、体と心が大人へと成長していく過程の頃だったんだ。



…周りは暗い。
ベランダから下を見下ろすと地面が遠くて、あたしはクラッと目眩がしてしまう。


『お前、名前は?』


薄暗くて、陸の顔があまり分からない。
でも笑顔がとても眩しかったに違いない。


『あたし…美羽…。高木美羽っていうの』


『美羽?言いにくい名前』


まさか初めて逢った人にこんなことを言われるなんて思ってもみなかった。
あたしはこの名前が好きだ。
だって…天使のようだから。