パパの言葉なんて、
今のあたしには聞こえていなかった。
ここから見る星空が綺麗すぎて、あたしの目を輝かせる。


この時、あたしの運命は動き出していたのだろうか?


星空をクマ太と一緒に見つめていると、視界に丸い透明なものが写った。
何だろう?と思い、近くにあった踏み台を持ち出し、ベランダから覗くと、隣の家のベランダに、一人の男の子が空に向かって、シャボン玉をしていた。


『…お前か?新しく引っ越してきたヤツって』


顔色ひとつ変えずにシャボン玉をし続ける男の子。
ヒーローのパジャマ姿が印象的だった。


『…う…ん』


あたしは小さくこう言うと、男の子はシャボン玉の蓋をしめて、あたしを見つめた。



このベランダは、
あたしと陸の秘密の場所なんだ─…



『俺の名前は河口陸哉《かわぐち りくや》よろしくな!!』



初めて見るあなたの笑顔が、夜空の星たちに負けないくらい輝いていて…

あたしの心はこの時に奪われていたのかもしれない─…



これが河口陸哉、陸との出逢いでした─…