この星を見てあたしは思ったのだ。
『田舎で見る夜空と何も変わらない』と。
あんなに田舎がいいと拒んでいたのに、今ではなにも思わないでいた。

星空が田舎と変わらないから─…。


空は、繋がっているんだ─…



『着いた、ここだな』


父親はある家の前で車を止め、外に出る。
あたしも外へと出て、その家を見上げた。


『うわぁ…』


田舎に住んでいた頃の家は、和風で少し古かった。
だが今日から住む家は、よくテレビで見るような家。
今時のような可愛らしい家だ。

あたしの胸はリズムよく踊りだす。


『ママ!早く入ろうよ!』


あたしは母親の手を引いて、鍵を開けてもらった。
初めて入る新しい家。
新築の、独特な匂いがする。
靴を脱いで、フローリングの床を滑りはじめる。

『ママ!すごい、すごい!すごく滑るー!!』


『こら、美羽。危ないからやめなさい』



あたしは興奮していて、しばらくやめることはなかった。