夢の中に、先程の友達との別れの光景が出てきた。
涙ぐんであたしに手を振る、幼稚園で出来た友達たち。
『また会おうね!』
こう言ったけど本当に《また》なんてあるのかな?
小さな子供のあたしが思った疑問。
あたしは知ってるよ?
《また》なんてないくらい。
再びあたしは目を開けると、寝る前は隣であたしと寝ていたクマの人形が下に落ちていた。
あたしは目を擦りながら人形を拾う。
『クマ太、落ちちゃダメでしょう?』
このクマの人形の名前は《クマ太》
あたしの大事な宝物。
母親が去年の誕生日に買ってくれたものだ。
沢山並べられた人形の中から、隅に置いてあったこのクマの人形を一目で気に入り、買ってもらったもの。
思い出の品だ。
あたしはクマ太についた埃を綺麗に祓い、前を見る。
『美羽?起きた?もう着くからね』
優しく微笑む母親。
窓から外を見ると、もう真っ暗で…星がキラキラと輝いていた。


