あの時は本当に腹が立っていたのだ。
まだ美加を忘れていなかったから。
だけど今になって思えば、俺の心にゆとりがなかったのも原因。
今は何も思わない。
それは新しい感情があるからだろう。


『悪い。だけどもう少し時間をくれ。いつか話せる時がくる…』


『分かった…なぁ?ヒカル??』


俺はヒカルの横顔を見つめる。
誰もが惚れてしまいそうなくらい格好いいヒカルの横顔を。
するとその視線に気がついたヒカルが俺の方に顔を傾けた。


『なに?』


『…ヒカルはさくらが好きなんだよな?』


確かめたい。
本当の気持ちを…
ヒカルの本当の気持ちを知りたいんだ。


ヒカルは立ち上がり、
俺と向き合う。
すると曇った空から一瞬だけ太陽が見えた…
その光に反射するヒカルの金髪の髪の毛。
そしてヒカルはにこりと笑い、俺を見る。





『俺はさくらが好きだ…ずっと…さくらだけだ…』