美羽の言葉が駆け廻っていた。

しばらく何も言えずにいた…

やはり今日の天気は曇り。
時々見せる太陽の姿がまだ眠そうだった。

美羽は相変わらずな態度。
昨日春が俺に訪ねてきたことを知らないのだろうか?


『…泣かせたっていうか…さくらは…?』


確かに屋上に行ったと思ったのに、さくらの姿はない。
屋上にいるのは美羽だけだ。
じゃあどこに?


『さくらさんなら、いないけど?あたしさっきここに来たばっかりだしね。ここに来る時すれ違ったの、泣いてたみたいだったけど?』





屋上に向かう足音は、美羽の足音だったのか。
俺は勝手に自分の中で納得をしていた。
美羽を見ると、未だに空を見ている。
春に近付くなと言われたが、どうしても近付きたくなる。

なんだ、この気持ち。

今日は風がない。
生温い春の温度。
美羽の髪の毛も今日は靡いていなかった。


なぜ、俺はこの次の瞬間…こんなことを言ってしまったのかな…





『今日も陸を見てるの?』