でも無理な話。
もう陸は─…いない。


朝起きると、俺は窓の前に立って、がっかりとしていた。

眉間に皺を寄せて、空を見つめる。
そして溜め息をひとつ零すのだ。


『はぁ…最悪』


なぜ溜め息をつくかというと、それは今日は快晴ではないからだ。
そう、どんよりとした曇りということ。
俺は遥斗と同じで、曇りや雨が嫌い。
快晴が好きなのだ。

理由は、単純。
ただ髪の毛が湿気でうねるから。
な、単純だろ?


しょうがないな、と小さく呟き、頭を掻きながら一階へと行く。
俺が一階へ着いた丁度その頃、家全体にインターホンの音が鳴り響いた。可愛らしいメロディー。

『母さん、誰か来たみたいだけど?』


リビングで朝食を作っている母さんの背中に向けて言葉を投げる。


『今、手離せないから雅出てー』


こう言われたら仕方がない。
俺はめんどくさそうにドアを開ける。

朝から誰だよ…


『はい…?』


玄関前に立っていたのは、今にも倒れそうな…


『…さくら!!』


さくらがいた──…