ちっぽけで、無力な俺が考え出した答えは、プラスの答えだった。
だけど春に『近づくな』と言われた。
美羽が傷ついてしまうからって。
どうすればいい?


『遥斗…でも近づくなって言われたんだ。俺どうすればいい?』


視線を芝生から移し、遥斗を写す。
遥斗はこちらをゆっくりと見て小さく微笑む。
まるで俺に『大丈夫』と言っているようだ。


『近づくなって言われても、近づけばいいじゃねぇか。いつかきっと心を開いてくれるから─…』


遥斗の言葉、ひとつひとつが俺に突き刺さっていた棘を抜いていく。
丁寧に、丁寧に。


なんだ、簡単なことじゃないか。

春に近づくなと言われたが俺は嫌なんだ。

美羽を傷つけるかもしれない。
だけどその傷つけてしまった傷を、俺が癒やせばいいことだ。


美羽は言った。
傷は癒えないと。


俺が癒やしてやるよ。

お前の心に負っている、でかい傷から、
小さい傷まで─…


俺の手で。


お前を救ってやる。