俺は馬鹿だし、未熟者だし、弱いけれど、聞きたいんだ。
そう込み上げてくる感情を露わにしているだけ。

美羽が気になっているのは本当だから…


彼女はゆっくりと俺を見上げ、そして俺の掴む手へと視線を変えた。


『離してくれないか?』

女の子のはずなのに、妙に男らしい彼女。
俺は驚いている暇などなかった。
必死だったのだ。
自分の中が─…


やはり『離して』と言われたが、俺は簡単に離したりはしない。


『離さないよ。教えてくれるまで』


唇をぎゅっと噛み締めて、彼女を見つめる。
端から見たら変な光景だろう。
だけど気にしない。
気にする必要などないからだ。


『…性格まで似てるとか厄介だな』


こう言って『はぁ…』と溜め息を漏らし、空いている手で髪の毛を掻き上げる彼女。


『…教えろよ』


『じゃあ、着いてこい』