一言で言ったらこれも運命なのだろう。
もし、この子と出逢わなければ、俺は美羽に対して無神経なまま、中途半端なままだっただろう。
知らない女の子が俺を睨みつけ、強く腕を掴む。俺はごくん、と生唾を飲んで、頭をフル回転させる。
『り、りく?』
『美羽の言った通りだな』
美羽と聞くと体が異常なくらい反応をする。
美羽?
この子は美羽のことを知っているのだろうか?
そして《りく》という言葉。
美羽もそう言っていた。
だけど意味が分からない。
答えが見えないでいる。
『それ…どういう意味?』
彼女は俺を真っ直ぐ見つめるが、その瞳は冷めていた。
瞳のガラスが曇っているよう。
『お前に言っときたいことがある』
女の子なのにサバサバとした口調で言葉を並べていく。
俺はこくんと頷き、次の言葉を待った。
『これ以上、美羽に近づくな』


