おまけに「使えねえな」と、チッと盛大な舌打ちをまでお見舞いされるとは……。


黒い秘書課の制服に身を包むその姿は、まるでモデルだと評判なのに。これでは羊の皮をかぶった狼そうろうではないか。


秘書課の女性たちはこの本性を、……知るわけないな。さっきの様子を思い出し、ひとりでそう結論づけてしまった。


「ところで彼女、……吉川さんはあの子だよね?」

「そうそう、可愛くて綺麗でしょう?」

身体を後ろへ向けてから、クリア窓のついた入口ドアから見える女性を指さす。


その先にはセミロングの髪を下ろした、社内ではまだあどけなく見える女の子。そして絶賛の答えが背後からは返ってきた。


「……人事部の係長から情報は仕入れ済みですよ」

「どういうことを?」

振り返った俺の発言を聞くなり、目の色を変えて真顔に戻った彼女。