「あらヤダァ。さっきまでのコ汚い小娘が、お花畑の妖精になって帰ってきたわァ」
花柄ワンピに着替えて、バーのフロアのほうへ戻ってきたあたしを見て、マンゴーママが驚きの声を上げた。
「その花柄の服、カワイイじゃない。イチゴ、その服どこで買ったのよォ。教えなさいよォ、アタシも今度買いに行くからァ」
「え~っ、ママがコレ着るのっ?」
あたしはM県のH知事ソックリのマンゴーママの花柄ワンピ姿を想像して、悪いけど“オエーッ”となりそうになった。
「アタシだって、お花畑の妖精になりたいわよォ。妖精になって、ルンルン気分でミュウちゃんと、もんじゃ焼きデートよン♪」
「おい、おっさん、平成生まれの一子に“ルンルン気分”なんて言っても、ソイツぁ昭和の時代の死語ってヤツだぜ」
すかさずミュウ(仮名)がツッコミを入れる。
あ、そーいえば……。
「あのさ、ママ、さっきからこのヒトのこと、“ミュウちゃん”て呼んでるけど、ソレ、このヒトの名前?」