・ 【第一章】 NANO CITY そこには空が無い。 地下1000mの立ち位置から見上げるその場所には、無数の光の粒が瞬く。 けれど、もちろんそれは星ではない。 地上と同じ緯度と経度の場所から見える、夜空のフェイクだ。 もう何百年も前、地の底を住処として与えられた彼らは、 空と大気を手放す代わりに、地上の全てのモノを模倣する権利を手に入れた。 地底都市NANO。 偽りの街と、人は呼ぶ。 ・