Rainy-Rainy

根本的な解決は何一つしてないけど。

まぁ、少なくとも、笑っている内は、二人に心配かけないで済むからいいか。

ホントにヤなのは、二人が心を痛める事なんだから。

問題は無いと言えば、無い。


好奇の目も、笑って流せばいい。

嫌な事なんて、私は慣れっこなんだから。


「大丈夫」


呟いて、もう一度鏡に向かって笑う。

少しぎこちないけど、可憐に微笑む私。


辛い事なんて何一つ無いように見える。


よし、これで準備は完了。


「じゃ、晶人さんが起きる前にさっさと行こう」


頬を軽く叩いてから、机の上の鞄を引っ付かみ、足早に部屋を後にする。

それから靴を履いて、玄関のノブに手を掛けてから、家の方を振り返った。


「それじゃ行ってきます、お母さん」


万に一つも晶人さんに聞こえる事の無いように、小さく、消えるように呟いて、私は駆け出した。