Rainy-Rainy

どうしよう。

正直、あまり人目を引くのは好きな方じゃない。

というか、完璧に苦手。


ただでさえ右目の眼帯で目を引くのに、これじゃいい好奇の的だ。


「……はぁ」


朝から憂鬱。

鏡の中の私は、今から死ぬってくらいにどんよりした顔をぶら下げていた。


いやいや。

朝からこんなじゃ駄目だ。

また二人に、余計な心配を掛けてしまう。


笑え、静香。

誰かが言ってた。

適度な営業スマイルと適度な相槌が打てればどこでだってやっていけるもの。

スマイルスマイル!


………ニヤ。


「……微妙」


鏡の中の薄笑いの自分が、激しく気持ち悪かった。

元々目付きが悪い私がこんな笑い方すると、何か悪巧みしてみるみたいだ。


気を取り直して、もう一度。

ニコッ。


「ま…これくらいかな」


感覚を覚える。

明るい笑顔の感覚を。

これでどんな時でも、笑ってられる。