Rainy-Rainy

なら、俺も気にするべきじゃないよな。

相手は、まだ高校生の餓鬼だ。

そういう気になる方が、どうかしてる。


…でも。


この先生そっくりの顔が、そうさせてはくれないのだ。

意識の底にどれだけ沈めても、この顔が俺の心を揺さぶってくる。


目の形も、鼻の形も、口も、耳も、肌の白さも。

全部が、先生を想い起こさせる。

違う人間だというのは、嫌な位に分かっているはずなのに。

なのに、まるで先生がここにいるかのような錯覚を覚えるのだ。

きっとこの眼帯が無かったら、静香は本当に先生と…。




バチンッ!!


「え…?」


手首からじんわりと痛みが広がって、ようやく叩かれた事に気付いた。

そうして、少し遅れてバシャンと傘が辺りに転がった。


「何を、するんですか……失礼です」

「あ…悪い」


叩かれた腕が、雨に濡れていく。

静香は傘も拾うことなく、少し不機嫌な様子で擦れた眼帯の位置を直していた。


俺、何したんだ?

眼帯に手を掛けていたのか?

そうすれば、先生そっくりになると思って?


「っ……すまない、馬鹿だった」

「いえ……こちらこそ、すいませんでした。私もつい、叩いてしまって」