Rainy-Rainy

「おーい、静香!」


俺は、アモーレから少し離れた所で、ようやく静香の背中に追い付いて、呼び止めた。


「あ………恭輔さん?」

「よぉ」


片手を上げて挨拶をすると、静香は「どうも」と軽く会釈を返して来た。

制服姿だから学校の帰りのみたいだが、何やら酷く憂鬱そうな顔をしている。


何かあったのか?


「あの……何か?」

「あっ、いや、何かって程の用事も無いんだけど」


そうだよ。

何で、静香を追い掛けて来たんだ?

話す事も、何も無いのに。


「あの、傘は?濡れてますよ?」

「あ……」


見れば、傘を差していない俺はアモーレを出てすぐだというのに、ずぶ濡れだった。

いや仕方ない。

突発的に飛び出して来たんだ。

傘なんて思いつくはずもない。


「それに、どうして内股なんです?」

「え……あ…」


静香が視線を逸らしながらそう言って、初めてその事に気が付いた。


なんて、情けない。

いや、でもこれは不可抗力だから、ちゃんと説明を。

しかし説明して分かるのか?

だが、このままでは俺は静香の中で二丁目の人に…。


「これは、そう、男ならではの、理由があってな」

「はぁ」


身振り手振りを交えてアレコレと説明するも、気の無い返事しか返ってこない。


えっと…。

もしかして、これって引かれてる?