Rainy-Rainy

「くうっ……まだ痛い」


痛みが六分目くらいになって、ようやく店長の肩を借りて立ち上がる事が出来た。


「災難だったな」


同じ男として、俺の味わった地獄の痛みが分かるのだろう。

店長はこの上ない哀れみに満ち満ちた表情で、俺の肩をポンポンと叩いてくれた。


「恭ちゃん!いい加減観念して、白状しなさい!!」

「観念も何も、口を塞いだのはお前だ!」


これだから女は困る。

この痛みが分からないから、平気で蹴れるんだ。

股間を蹴られるくらいなら、鉄の棒で頭を殴打される方がずっといい。

それくらい、身体的にも精神的にも痛いのだ。


「正直に話してやるから、もう蹴るなよ?」

「それは恭ちゃん次第だよ」


笑顔が、怖い。

とにかく覚悟決めて、さっさとゲロっちまった方がよさそうだ。


「実はな、お前ん家に遊びに行った時に………あ」

「あ?」


遊里は首を傾げる。


「あ…って、何?何なの、恭ちゃん?」


遊里が何やら尋ねて来たが、その時の俺の意識は、完全に店の外を通った人物に向いてしまっていた。


「恭ちゃ……きゃっ」


刹那、俺は肩を貸してもらっていた店長と遊里を押しのけて、雨の降る咲芽商店街へと走り出していた。