Rainy-Rainy

何だか、あの久我静香と出会った時から本当に調子が悪い。

ふとした折りに、瞼の裏に先生がちらついて、何にも集中出来なくなっている。


今日も朝から大学に顔を出したのはいいが、集中出来ずに一限の途中で抜け出してしまった。

それから、ずっとここで、ご覧の有様だ。


「静香、か」


店長には聞こえないように、ほとんど唇を動かすだけの、か細い声で言葉にした。


この間、コンビニで出会った先生の愛娘。

少し影を落とした、先生とは器だけがそっくりの少女。


……あれが、先生のご自慢の娘なのだろうか?

いや、先生から聞かされてたのとは、少し印象が違う気がする。


「お…?」

「ん?」


カウンターを拭いていた店長が急に声を出して、俺の思考は止まった。

と同時に、チリン、チリンと入口のドアに付いているベルが小さく揺れて、一人の女が入って来た。


「遊里。遅かったな」

「ごめんなさい、店長。ちょっと教授との話が長引い……って、恭ちゃん」


胸あたりまでの長さの緩く巻かれた茶髪の、柔和そうな女。

アモーレ唯一の従業員で、俺の幼い頃からの友人だ。

名前は、佐原遊里という。