Rainy-Rainy

私と桂くんは、教室までの短い間を、つまらない雑談で埋めながら歩いていく。

私が眼帯のズレを気にしながら、天気が良いと言えば、桂くんは本を読みながら、ああ、と答えるだけ。

血の通っていない会話とでも言うべき、冷めた言葉の羅列。


私と桂くんの二人きりの時は、こんな会話が多い。

ちなみに話を振るのは、いつも私から。

話をしたい訳じゃないけど、沈黙というのはどうにも居心地が悪いのだ。

だから、何でもいい、思いついたり、目についた事を口に出す。

そうしたら、桂くんは必ず、「ああ」とか「そうだな」と返事をしてくれるのだ。

律儀に返事を返してくれる辺り、桂くんはかなり優しいと思う。


「その本面白い?」

「まぁ、それなりに」

「数学の小テストあるんだよね」

「あぁ」

「まだ少し寒いね」

「そうだな」


ざっとこんな感じ。

私達は毎朝教室に着くまで、こんな無味乾燥な会話を延々と続けているのである。


しかし小学校から付き合いのある二人の会話がコレなんて、色気が無さ過ぎるよね。

二人になった途端にこれなんだから、つくづく千鶴の凄さを思い知らされるよ。