Rainy-Rainy

十五分程後、私達はいつも通りの時間に学校へと到着した。

狭い暗いのグラウンドを抜けて、生徒達でごった返す下駄箱へと入る。


ちなみにクラスの違う千鶴とは、ここでお別れだ。

その別れる直前。


「桂、任せたで」

「ああ。心配するな」


千鶴が何を言いたいのか、桂くんは彼女の目を見ただけで汲み取ったようだ。

特に何も聞く素振りも見せず、桂くんはさっさと自分の下駄箱に向かって行ってしまった。


それを見送る千鶴は渋い顔をしながらも、どこか笑っているような表情を浮かべていた。


「ふん!相っ変わらず愛想無い奴や。ま…ええわ。それより静香、色々欝陶しいやろうけど、桂に守ってもらい」

「……うん」

「ほなな」

「ん、またお昼にね」


千鶴は背中越しに手をひらひら振りながら、自分の下駄箱の方へと消えて行った。