Rainy-Rainy

「おはよ、千鶴」


少女の名は藤倉千鶴。

小学校の時に彼女が転校して来てから、ずっと親友をやっている仲だ。

校則で禁止の金髪に喫煙、飲酒と何でもやりたい放題の少女だけれど……。


「何や、またえらい怪我して……大丈夫?」


ほら。

また始まった。

ホント毎度のことだけどいつもテンプレで、苦笑してしまう。

千鶴は、こんな恰好から想像もつかないくらいに重度の心配性なのだ。

それこそ石に躓いただけでも、救急車を呼びかねないくらいに。


「私はこの通り大丈夫だから。ほら、携帯しまいなよ」

「で、でも…」

「でも…じゃありません。全く、毎日千鶴から電話を受ける救急の人の身にもなりなさい」


百十九番を押していた携帯を取り上げると、さらに心配そうに眉を八の字にする。


「そ、そないな事言うても、ほら静香、すぐ無理するし。ウチ、心配なんやも……んがっ!」


心配心配と続ける千鶴が突然、苦悶の声を上げた。