恋の破片(カケラ)~ラブ&ピース~

パンパンパン!

パンパンパン……!

うぅん……

痛い……。

由貴さん!
由貴さん!

看護婦さんっ!

意識が戻りました!

叩いていたのは直樹の姉だった。

由貴は両手両足リンゲルの点滴に繋がれていた。

リンゲル18本で血液を洗浄したらしい。

全部溶けて間に合わなかったらしいのだ。

「何で死なせてくれなかったのよぉ!

直樹君は?
直樹君はどこ?」

「直樹は今バイトよ。
終わったらこっちに来るから!」

(こんな時にもバイトなの?)

両家の親が来た。

直樹の姉が、

「直樹が別れると言ったら勝手に自殺を図ったんです。」

そう言った。

「そうなの?」

(違う!直樹……本当の事言ってくれるよね……。)

「姉の言うとおりです。」

「じゃあ解散しましょう。」

直樹達と直樹の両親が帰った。

由貴はしゃくりあげだした。

由貴の両親が駆け寄ってきた。

「どうした!?由貴!!」

「嘘つき……。
直樹の嘘つき。

最後まで本当の事言ってくれると信じてたのに!!」

由貴は直樹との出会いから、中絶、裏切り全て話した。

由貴の両親が激怒して、すぐにもう一度、あちらの両親と直樹姉弟を呼んだ。

「娘の言う事に間違いはないか。」
そう聞いた。

「直樹!どうなんだ!
由貴さんにそんな事をしたのか!」

直樹は黙って頷いた。

「直樹!あんたなんて事を!
女の子にとって中絶がどんな辛い事か!」

直樹の母親が泣きながら直樹に言った。

「私は娘が不憫でならない。
あんなに直樹君を娘は信じて最後まで何も言わなかったのに。

しかも娘は喘息で麻酔が危険なのに、それも黙って、たった一人で手術を受けたと思ったら……。」

由貴の父親が男泣きした。