今でも美夕はわからない。

あれは…恋だったのか。

あれは恋だったと思いたい。

あの雨の朝の二人は、きっと互いの心に互いがいたと。

月日がたち、嫌いだったママの一言一言が、今になって正しかったと思う。

しばらく不本意にママを任されて店一軒やった時はうまくいったけど、完全に一人で独立して店をやってくれと言うのには美夕はうなずかなかった。

あれからヤクザの店と知らずに引き抜かれ、唇を切るような怖い思いもした。

(そこのママの店の客、全部連れて行って潰して差し上げたけど。)

美夕も今は黒木瞳世代。

だけど豊との日々は短くても胸に秘めている。

宝物だと思っている。

勇気を出せば今頃…
なんて悔やんでもいる。
いつかまた会えたなら、あの時言えなかった気持ちを話したい。