いい気味……。

そう思いながら、電車でキンモクセイの香りに振り返る度に、何年も何年も胸が痛み涙が浮かんだ。

本当は一途で健気な自分をわかってもらいたかった。

それなのに、うまく態度に出せなくて、こんなに深い傷を負ってしまう沙耶。

いつの日にか、本当に沙耶を理解してくれて、大切にしてくれる人が現れるから、今は傷が癒えなくても、いい香りだと笑える日を信じて生きて欲しい。

悲しみすらも糧に。