その日、わたしはそのあと二組の客について、午前2時になったところで、店長にあがっていいと声をかけられた。
「日払いは?いる?」
「いらない」
「ん。あ、そういや来週からだっけ、週末しか出られなくなるの」
「うん。詳しいシフト希望はあとでメールで送る」
「わかった。おつかれさん」
おつかれさまです、と返事を返し、わたしは早々とドレスから私服に着替えて店を出た。
彼氏にメールを打つ。
『件名;起きてる?/本文;今仕事終わったよ。おなかすいてるならなんか買っていくよ?』
通りに出て、タクシーを拾ったところで、メールの返信がきた。
『件名;おつかれさま/本文;起きてたよ。けど腹はへってない。今日は来なくても大丈夫だからそのまままっすぐ帰りな。明日から大変だろ』
その画面を見て、タクシーの運転手に自分の家の行き先を告げる。
車が走り出す。
『件名;ありがと/本文;了解☆心配してくれてありがとじゃあちょっとさびしいけど今日はまっすぐ帰りますおやすみなさい』
ケータイを閉じる。
タクシーは800円ほどの距離で家につき、わたしは料金を払って降りた。
まだ少し肌寒い4月の風が、頬をなでる。
ふぅ。
明日から、また学校が、新学期が始まる。