出てきたその人は、わたしと田口の姿を見て、目を見開いた。途端に額に青筋が浮かび、驚愕から逆鱗の顔をへと変わった。
「た、たすけて…」
絞りだしたわたしの声は、明らかにふるえていた。
助けて。助けて、先生。
先生はそんなわたしの声が届き終わる前に、田口に掴みかかっていた。
「なにやってんだよお前ェっ!!!」
「はっ、俺はこの売女とちゃんと交渉してるんだよ!あんたに止められる筋合いねぇだろうがよぉ!」
田口は先生を突き飛ばした。わたしは思わず短い悲鳴をあげた。田口は今度はわたしの肩をつかむ。
膝をついた先生は、そんな田口をキッ、とにらみつけ、立ち上がった。再度田口に掴みかかった。そして、言った。
「教師が教え子守るのは、男が大切な人守るのは、当然のことだと思ってやってんだよ!!」
「えっ…」
いつのまに、いつのまにバレていた…?