この田口という男がそれなりに金を持っているということは、普段指名されているわたし自信が一番よくわかっていた。以前派遣会社を経営していると言ってたっけ。
「瑞穂ちゃんこんなところで働いてたってさ、稼げる額なんて決まっちゃってるでしょ。俺きみが欲しがる服や化粧品くらいならいくらでも買ってあげるよ。そうだ、マンションも借りてあげよう。ほんとに一目見たときから俺瑞穂ちゃんのことすごく気に入ってるんだよ」
この男のものになる。それだけで、この店から、学校から、家から離れられる。迷おうにも、わたしにはもう後ろ髪を引っ張るものは何もない。そんな気がした。
気づくとわたしはこっくりと首を縦に振っていて、笑いながら大声で田口がシャンパンを頼む声が店内に響いた。
「瑞穂ちゃんこんなところで働いてたってさ、稼げる額なんて決まっちゃってるでしょ。俺きみが欲しがる服や化粧品くらいならいくらでも買ってあげるよ。そうだ、マンションも借りてあげよう。ほんとに一目見たときから俺瑞穂ちゃんのことすごく気に入ってるんだよ」
この男のものになる。それだけで、この店から、学校から、家から離れられる。迷おうにも、わたしにはもう後ろ髪を引っ張るものは何もない。そんな気がした。
気づくとわたしはこっくりと首を縦に振っていて、笑いながら大声で田口がシャンパンを頼む声が店内に響いた。
