わたしには、7つ年上の姉がいる。いや、いた、という方が正しいか。
最後に姉と会ってから、もう8年が経つ。

姉は、身内のわたしがいうのもなんだが、かなりきれいな人だった。
容姿はもちろんのこと、当時必死に勉強してそれなりだったわたしに対し、姉は常に学年トップの成績だった。
ピアノがとても上手だった。わたしも姉に憧れて習い始めたものの、全然うまくならなかったのを覚えている。
よく母の手伝いもしていたし、父にもよく誉められていた。当時まだ小さかった明の世話もよくやいていた。
全てがわたしより勝っていた姉はわたしにも優しくて、わたしは嫌うこともできなかった。
姉のような人になりたいと、思わない日はなかった。

姉の名は瑞穂。

そう。わたしの夜の名前は、彼女から勝手に借りたのだ。