くだらないワイドショー番組を観ながらボーッとしていたところで、ふと携帯電話が震えた。
キャバクラの客からの電話だった。常連客のハゲオヤジ。正直めんどくさかったが、渋々わたしは電話に出た。
「あ、もしもーし。うん、わかるよぉ。久しぶりぃ。…えっ、そんなことないよぉ。あ、じゃあまたお店来てよー、新しいドレス買ったから見にきてっ。…あっ、ほんとー?やったぁ、ぜったい約束だよ!じゃあ今週の土曜日待ってるからね!うん、はーい、またメールしーまーす」
自分自信に100点をつけたくなるような営業トーク。
ふぅ。ため息をつきながら電話を切る。
そこで顔をあげ、わたしの心臓はとまりそうになった。
リビングの入り口の扉を開け、弟の明が、わたしの姿を見て立ち止まっていた。
「あき…ら…」
「…ただいま」
明は気まずそうに言葉を返してきた。
その表情で、瞬時に今の会話全てを聞かれていたのであろうとわかった。
「あんた、塾じゃないの…?」
動揺したわたしの口からは、そんな言葉しか出てこなかった。
「塾なんてもう、とっくの前から行ってないよ」
明はリビングに入ってきて、冷蔵庫を開け、烏龍茶をコップに次始めた。
「…そう」
見ると明の片手には、今電車に乗ると誰もが暇潰しにいじってるような、流行りの携帯ゲーム機が握られていた。うちは両親ともこういうのが嫌いだから、買うことすら禁止されていたはずなのに。
塾に行っていないと言ったことといい、わたしほどではないものの、明もいつのまにか変わっていたんだと思った。そこで、変な親近感が湧いた。
明、今あたしの電話、聞いてた?そう聞こうとしたら、それよりも早く、明は言った。
「俺、姉ちゃんがずっと前からしょっちゅうこっそり夜出かけてって、朝方すごいケバい格好で帰ってくんの、知ってるよ」
キャバクラの客からの電話だった。常連客のハゲオヤジ。正直めんどくさかったが、渋々わたしは電話に出た。
「あ、もしもーし。うん、わかるよぉ。久しぶりぃ。…えっ、そんなことないよぉ。あ、じゃあまたお店来てよー、新しいドレス買ったから見にきてっ。…あっ、ほんとー?やったぁ、ぜったい約束だよ!じゃあ今週の土曜日待ってるからね!うん、はーい、またメールしーまーす」
自分自信に100点をつけたくなるような営業トーク。
ふぅ。ため息をつきながら電話を切る。
そこで顔をあげ、わたしの心臓はとまりそうになった。
リビングの入り口の扉を開け、弟の明が、わたしの姿を見て立ち止まっていた。
「あき…ら…」
「…ただいま」
明は気まずそうに言葉を返してきた。
その表情で、瞬時に今の会話全てを聞かれていたのであろうとわかった。
「あんた、塾じゃないの…?」
動揺したわたしの口からは、そんな言葉しか出てこなかった。
「塾なんてもう、とっくの前から行ってないよ」
明はリビングに入ってきて、冷蔵庫を開け、烏龍茶をコップに次始めた。
「…そう」
見ると明の片手には、今電車に乗ると誰もが暇潰しにいじってるような、流行りの携帯ゲーム機が握られていた。うちは両親ともこういうのが嫌いだから、買うことすら禁止されていたはずなのに。
塾に行っていないと言ったことといい、わたしほどではないものの、明もいつのまにか変わっていたんだと思った。そこで、変な親近感が湧いた。
明、今あたしの電話、聞いてた?そう聞こうとしたら、それよりも早く、明は言った。
「俺、姉ちゃんがずっと前からしょっちゅうこっそり夜出かけてって、朝方すごいケバい格好で帰ってくんの、知ってるよ」
