夕方家に帰ると、仕事に出ている父だけでなく、普段この時間夕食の準備をしているはずの母もいなかった。
そっか、今日の朝、近所の人に誘われてフラワーアレンジメント教室を見に行ってみるとか言ってたっけ。
誰もいないリビング。
いつもなら学校から戻るとすぐに自室にこもるわたしだが、苛々をまぎらわせたい気持ちもあって、テレビをつけ、ふとその前のソファに寝そべってみた。
今までずっと家族に気を遣うだけだったこの場所も、こうしてみると案外落ち着く。